第98回 認知症介護 転倒して股関節の骨折 その1

認知症の母がグループホームに入ったのが、2015年8月。

それから1年半ほど経った2017年3月、母はグループホームのトイレで転倒したらしく、股関節を骨折してしまいました。

母がずっと痛がっていたので整形外科に連れて行ったところ、骨折が分かったとグループホームのスタッフの方から私に電話があったのです。

その連絡があった電話で、手術するかどうかを決めてほしいと言われました。

「こういう場合はたいてい手術する」ということだったので、それほどの迷いはありませんでした。

ただ、手術して入院すれば、痛み止めなどの薬の影響も心配ですし、動くことができないため単調な生活になることも想像され、認知症が一気に進むことを私は心配しました。

骨折して入院して認知症が進むという話は、本で読んだり、話を聞いたりしていたからです。

私が「手術をお願いします」と言ったので、大きな病院に搬送してもらい、母は手術することになりました。

入院して2日後に手術の枠が空いているということで、手術してもらえることになりました。

手術に当たっては、いろいろと同意書や承諾書などを書かなくてはなりませんでした。

病院側が訴訟リスクを減らすために必要な手続だろうとは思いますが、気持ちのいいものではありませんでした。

何かミスがあっても、「承諾してもらっていますから」と言われそうな感じがして。

手術承諾書、輸血承諾書、血液製剤承諾書、拘束承諾書、全身麻酔承諾書。

点滴の管を抜いたりしないように、手術後に手にミトンをはめられて拘束される場面もありましたが、仕方ないとはいえ、とてもかわいそうでした。

入院は2週間から1か月ほどとのこと、最近はあまり長く入院させてもらえなくなっているようです。

リハビリも考えたら、4ヵ月くらいはかかりそうなのに。

退院後の受け入れ先も心配でしたが、ベッドから車いすに移動できるようになったら大丈夫と今のグループホームからは言ってもらい、少し安心しました。

そのあたりの心配を聞いてくれ、相談に乗ってくれるケースワーカーも、大病院にはいました。

この日のメモはさすがに長いです。

2017年3月のメモです。

2017年3月○日

・昨日、母が右足の付け根を骨折した。

 実際骨折したのはおそらく一昨日。

 昼頃にグループホーム「S」のIさんから電話があり、昨日トイレに行ってから出て来なくて、ずっと痛がっていたので、T整形で診てもらったところ、「骨折している」、「この場合たいていは手術するがどうするか」と聞かれた。

私が「お願いします」と言ったら、大きな病院を手配してくれて、市民病院で手術入院することになった。

手術に当たってのいくつかの検査があった。

 レントゲン、CT、血液検査などなど。

全身麻酔の手術で、手術自体は15分程度で、前後の処置を含めて1時間程度の見込みとのこと。

 入院2日後の9時半から手術することになった。

手術同意書のみならず、輸血が必要になった場合の承諾書、血液製剤が必要になった場合の承諾書、拘束が必要になった場合の承諾書、全員麻酔の承諾書などを書いた。

妻が調べたところ4ヵ月くらいかかるらしいが、医師に入院がどれくらいになるかを尋ねたら、2週間から1か月という返事だった。

長くは入院させてくれないのだろう。

歩けるようになってから受け入れるというグループホームなら1か月くらい、座れるようになったら大丈夫というグループホームなら2週間くらい、受け入れ態勢によるとのこと。

 骨折などが原因で認知症が一気に悪化することも多いと聞くが、と医師に尋ねたら、「そうですね」と言っていた。

脳に麻酔をかける全身麻酔の手術だし、しばらくは痛み止めの薬も使うだろうし、悪化は避けられない気がする。

それでも、手術しないで痛みが治まるのを1か月くらい寝たきりで待ってもよくないから、たいていは手術ということらしい。

グループホームのIさんがパジャマやタオル、コップ、箸、スプーン、おむつなどをグループホームに取りに行ってくれた。

市民病院の4階西病棟の○○○号室に入院している。

医師から説明を受けた時に、独り言を言うのが心配だと言ったら、「そういう人もたくさんいますから」という返事だった。

○○○号室は大部屋だが、母の他に、似た状況と思われる男性がいて、盛んに看護師を呼んでいた。

看護師がなかなか来てくれないので、そのうち、「おにいちゃん、おにいちゃん」と私を呼び始めた。

 母はトイレに行きたがる。

尿は管で取ってもらっていて、便はおむつにしたものを看護師が取り換えるということらしいが、おむつに便をすることに慣れない母は、「トイレに紙がないの?」、「こんなところでするの?」と何度も心配そうに聞いてきた。

一気に悪化してしまう可能性も高いと見て、兄に電話して、「土日に一度会いに来ておいたら」と言ったら、日曜に行くとの返事だった。

第97回 認知症介護 認知症、前を向くために その3

「認知症、前を向くために」という特集記事が、朝日新聞のオピニオン欄にあります。

今日(2018年12月16日)はその第3回で、「共に生きるまち」がテーマです。

まず、朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声の一部が紹介されています。

「認知症だって、風邪や骨折と同じ。恥ずかしいことでも悪いことでもない」という10代女性の声もあります。

特に共感したのは、訪問介護に携わっている50代女性の声です。

「訪問介護の現場で、長く生きすぎた、死にたい、といわれる高齢の方に出会います。役割を奪われ、生きがいを感じることができなくなっている。でも、どの方も豊かな社会経験、様々な知識と知恵を持っている。それをお聞きすることはとても興味深い。『頑張ってこられたんですね』というと、うれしそうにされます。『対話』する福祉が大切と思います」。

私の母にも、豊かな社会経験や子育ての知恵があり、なかでも子育てに注いだエネルギーには相当なものがあり、それが私の母への大きな感謝につながっています。

記事では、「DFJI‐Zoomカフェ」が紹介されています。

「DFJI」というのは、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブのことで、その「DFJI」がZoomというインターネットのテレビ会議システムを使って、認知症の本人や家族らの新たな交流を始めているというのです。

ちなみに初めの「D」は、認知症を意味する英語の「Dementia」の頭文字です。

認知症の関連ではこの「D」がよく出てきますね。

このテレビ会議は2017年8月に始まり、すでに240回以上開かれているそうです。

「同じ境遇の人に出会える心強い場所」になるかもしれません。

「DFJI」のウェブサイトはこちらです。→「DFJI」

記事にはさらに「認知症にやさしいまちづくり」に取り組む町田市の取り組みも紹介されています。

認知症の人や家族が安心して暮らせる地域であるためには、何が必要なのか。

当事者だけでなく、様々な分野の先駆者が集まって話し合う「まちだDサミット」というのが先月開催されました。

この「D」も「Dementia」の頭文字ですね。

町田市が本格的に「認知症にやさしいまちづくり」に取り組み始めたのは2015年。

市内のスターバックスコーヒーでは、認知症の人や家族が交流する「Dカフェ」が開かれています。

この「D」も「Dementia」の頭文字ですね。

「認知症、前を向くために」は、来週12月23日が第4回。

全4回の最終回です。