第15回 認知症介護 認知症の薬 アリセプト

 母が認知症の薬を飲む日がきました。

 認知症の薬と言っても、認知症が直る薬はないとのこと。

 認知症の進行を遅らせる薬だということです。

 まずはアリセプト。認知症の代表的な薬です。

 徐々に薬の量を増やして、一定期間たったら別の薬に替える、それが一般的なようです。

 2012年3月半ばでした。

2012年3月○日

・Oクリニックに行った。

 朝飲む薬がこれまでの3種類から4種類になった。アリセプトD錠3㎎だ。

 物忘れの症状が進むのを抑える薬、認知症の薬だ。

 もちろん母の気持ちを考慮して、O医師も薬局のNさんも認知症の薬ですとは言わない。

 Nさんは「シャキッとします」と明るく言ってくれていた。

 この3㎎を2週間飲み、副作用などを確認して5㎎に移行するのが一般的な飲み方のようだ。

 妻の職場の人たちには「飲まないほうがいい」と言う人はいないらしいし、まあそうなのだろうが、やはり私には躊躇もある。

 アリセプトを飲み始めたら、薬をやめるという選択肢はなくなるはずだ。

 やめたら反動で急速に悪化する懸念もあるだろうから。

 薬の効果が薄れてきたら、10㎎にするか、別の薬に変えるということになるだろう。

 その後、I整骨院にも行ってきた。

 しかし、血圧を測ってO医師は「血圧の薬を飲まなかったから高い」と言ったのはなぜだろう。

 血圧手帳には今朝の血圧が記入してあり、決して高くはない。

 それはO医師も見たのに。

 病院で血圧を測るときはいつも高いとこれまで何度も言っているはずなのに。

 その場で「朝の血圧は高くはなかったですが」と尋ねてもよかったが、血圧の薬はやめてはいけないと言いたいがために、わざとそう言ったのかもしれないとか、色々考えて聞けなかった。

 しかし、少し私のO医師への不信感が高まった。

 不信感を持つのもよくないとは思うが。

 O医師は、私も私の母も信頼している医師でしたが、それでも時には、分かってもらえないというもどかしさを私が感じることはありました。

 例えば、怒りっぽくなった「不穏」の状態の時に飲ませる「抑肝散」という漢方薬がありますが、その状態になってからではとても飲ませられず、「不穏の状態でどうやって飲ませたらいいのだ」と思ったこともありました。

 もちろん、先生は不穏の状態がどんなものか、知らないはずはないのですけれど。

第14回 認知症介護 腰痛と痛み止め

 母は腰痛があり、整骨院や整形外科にも行っていました。

 元々、腰痛を持っていたわけではありませんが、いつの頃からか、背中が曲がってきました。

 背中が曲がるというより、ねじれるという感じでした。

 整形外科に行っても、骨粗しょう症ぎみだから、カルシウムの吸収をよくするような薬が出るとか、痛みを抑えるために痛み止めの薬が出るとか、そのような感じでした。

 年齢のため、仕方がないのかもしれませんが、痛みがあるというのはやはりかわいそうでした。

 母はタクシーを呼んで一人で整骨院に行くこともよくありました。

 ただ、木曜日の午後は休みとか、そうした注意深さは、しだいに薄れていきました。

 でも、その頃は、タクシーを呼ぶことも、整骨院が休みで診察が受けられなかったことを私に話すことも、まだできました。

 2012年3月のメモです。

2012年3月○日

・母は今日もI整骨院に行った。

 しかし、木曜日は午前中だけで、午後に行ってしまったので、診察を受けられず帰ってきたとのこと。

 腰が結構痛いから痛み止めも飲んでいる。ここ数日はずっと夕食後に痛み止めも飲んでいる。

第13回 認知症介護 かかりつけ医への相談

 母のかかりつけ医はO医師という女医さんでした。

 O医師は母のお気に入りで、私が母をM市に招き寄せてからずっとお世話になっていました。

 父が亡くなる数日前、私が「もう延命のための治療は終わりにしたい」と相談に行ったのも、O医師のところでした。

 そのO医師に相談に行った日のメモです。

2012年3月○日

・母は続けてI整骨院に通っている。

 医療費がかさむことが考えられるので、確定申告用に領収書をもらうようにした。

 これまでの分はまとめてもらって、これからの分は毎回出してもらうようにお願いした。

 母は帰ってきて領収書もらうのを忘れたと言っていたが、棚の中に入っていた。

 昨晩は「腰が痛くて眠れなかったから眠れない薬を飲んだ」と言っていたので、痛み止めの薬を飲むかと聞いたら、「痛み止めの薬があるの」と聞いてきた。

 薬のことはどれくらい把握しているのだろうか。

 次女の夏子が「おばあちゃんラーメンばっかり食べているよ」と言っていたらしい。

 母に朝食昼食のことを聞いてみたら、「作るのはきらいではないから、魚やいたり煮物作ったりして、ちゃんと食べてるよ」とのこと。

 ヨーグルトも毎朝食べ、今は通事も毎日あるとのこと。

 夕食で結構食べているので、朝昼は少しでいいと思うけれど、どんな食事をしているかは、少し気をつけていかないといけないかもしれない。

 あまりあれこれ言うのもどうかと思うけど。

・Oクリニックに私一人で行ってきた。

 ①認知症の薬を飲むかどうか、②介護の認定を受けておいた方がいいか、③成年後見制度の申請をしておいたほうがいいか、この3点を相談した。

 ①については飲む方向で。私自身は躊躇がやはりあるが。母に相談しにくいのがつらい。

 A病院のO先生がかかりつけ医のO医師に書いた手紙には、「長男さんが納得していないようだったのでその場では薬を処方できなかった」とあったようだ。

 A病院での検査結果と、O先生からO医師への手紙のコピーはくれた。

 ②については、認定してもらうのもいいが、役所の人が要介護度の調査に来るので、母が嬉しくないかもしれず、しばらく様子を見てもいいのでは、という雰囲気だった。

 ③についても、するなら兄弟でよく話し合って、弁護士とかに相談したうえでした方がいいとの助言。

 誰が後見人になるかでもめることがあるらしい。

 そりゃそうだろうな。財産がからむから。

 ②についての「ケアマネージャーを選ぶ際には、元看護士を選ぶ方がいい」という助言は生かせそうだ。

 母は特別料理が得意だったわけではありませんが、身の回りのことはきちんとする人でした。

 このころ、母の夕食は、私の妻や子どもと一緒に食べていました。

 ただ、朝食と昼食を母がどうしているのかには、あまり注意が向いていませんでした。

 結局、この後、認知症の薬は飲むことにしていきました。

 認知症の認定も受けることにしました。

 成年後見制度については、2017年現在も申請していません。