3年程前の2015年8月終わりごろ、認知症の母をグループホームに預けることとなりました。
母の認知症に気づいてから4年が過ぎていました。
介護の過程で、嘘はなるべく少なくと心がけてはいましたが、それでも認知症の検査に病院に連れていくときなど、どうしてもどう伝えるかに困るときがありました。
グループホームに預けるときもそうです。
母が家で過ごしたいのは分かっています。
しかし、自宅での介護は限界に近づいていて、ある意味、子どもたちを含めた家族を守るために仕方なく決断したという気持ちでした。
大げさかもしれませんし、そんな風に思うことはないと思いつつも、年老いた母を姥捨て山に捨てに行くような気持でした。
「第11回 認知症介護 どんな本を読んだか」で、松浦晋也さんの『母さん、ごめん。-50代独身男の介護奮戦記-』(日経BP社)に触れつつ、私は次のように書いていました。
何よりタイトルの「母さん、ごめん。」この思いに共感します。
「第1回 認知症介護 母への思い」で書きましたが、介護の日常で母への感謝を思うこと、母への感謝を自分に言い聞かせることはしょっちゅうでした。
「母さん、ありがとう。」でも、これまでも、そして、おそらくこれからも母の介護を思うとき、まず頭に浮かぶのは「母さん、ごめん。」だと思うのです。
母をグループホームに預けた日の私の思いはまさに「母さん、ごめん。」でした。
その日に母にどう伝えるかは、主治医のO医師にも相談しました。
そして、「4~5日、仕事で家を空けなくてはいけなくて、ご飯の用意ができないから」と言うことにしました。
グループホームに入所するにあたって、それまでお世話になっていたケアマネジャーもグループホームの人に変更するものだということも知りました。
2015年8月○日
・今日、グループホーム「S」に入所する。
午後3時の予定。
妻の話では、昨日冷蔵庫にあったプリンとコーヒーゼリー6個を、母はすべて食べていたとのこと。
母をグループホーム「S」に送り届けてきた。
予定の午後3時より10分くらい早く到着して、重要事項説明と契約の説明などで、午後4時半頃まで。
「4~5日、仕事で家を空けなくてはいけなくて、ご飯の用意ができないから」と言って。
家を出るときにそう言って、車を降りるときに、もう一度そう言ったら、「おばあちゃんだけで泊まるの」と少し不安げに聞いてきた。
台風15号の接近で、大雨が降っていた。
ケアマネジャーはこれまでお世話になってきたNさんからグループホーム「S」の人に代わるものらしい。
今(午後6時15分)、ケアマネジャーのNさんに報告の電話をした。
私の職場のMさんとの約束を、私がすっぽかしてしまったことには、グループホーム「S」を出たところで気づいた。