第104回 認知症介護 ベッドで小便

 認知症の母が入っているグループホームからは、月々の領収書や請求書と一緒に「おたより」が送られてきます。

そこには母の日々の様子が書かれています。

母がグループホームに入ったのは2015年の8月でしたから、それから2年と4ヵ月が過ぎたころ、母の症状は少しずつ悪くなっていました。

「機嫌を悪くして物を投げることもある」、「他の入居者とのトラブルもある」そんなことが「おたより」には書いてありました。

人を傷つけたり、建物に損害を与えたりして、賠償や弁償を迫られるようなことになりはしないかと、私は心配しました。

「第99回 認知症介護 認知症、前を向くために その4」で、朝日新聞のオピニオン欄にあった「認知症、前を向くために」という特集記事に触れました。

そこには、認知症の人が起こした事故の被害者と加害者双方を自治体が救済する「神戸モデル」の紹介がありました。

認知症になっても、なるべく心配少なく暮らしていける街づくりも求められますし、そのようにして、認知症になった人が、施設内に閉じ込められるようなことなく暮らしていけたらいいとは思いますが、「認知症、前を向くために」という特集記事のこの時のテーマが「リスクに備える」だったように、リスクに備えることも益々必要になってくることと思います。

2017年12月、この頃の母は、ベッドの上で小便をしてしまうこともあるということで、それに備えての新たなシーツも購入しました。

正確にいうと、グループホームに買ってもらいました。

病院代やちょっとしたお出かけの時に使ってもらう「こづかい」を、普段からグループホームには預けているので、そこからシーツの費用は出しました。

ズボンを濡らしてしまうことも増えたので、着替えのズボンをいくつか用意してほしいとも言われたので、妻と一緒に買いに行き、グループホームに届けました。

2度の股関節の骨折で、車いす生活になったので、行きたいときにすぐにトイレに行けないのですから仕方のないことです。

2017年12月のメモです。

2017年12月○日

・最近のグループホーム「S」からの報告では、母は機嫌が悪いことが多く、物を投げたりすることもあるらしい。

他の入居者とのトラブルもあり、少し距離を置くようにしていると。

夜はあまり眠れないことが多いと。

ベッドの上で小便をしてしまうことも時々あり、少し前にシーツを買ってもらった。替えようのズボンもいくつか買って持って行った。

第103回 認知症介護 転倒して股関節の骨折 その5

認知症の母が転倒して股関節を骨折して手術、2か月ほど入院してリハビリもして退院したのが2017年4月のことでした。

グループホームが再び受け入れてくれる条件としての、「立てる」とか「車いすに移ることができる」等はクリアして、何とか自分の足で歩ける程度には回復しましたが、心配していた通り、また転倒して骨折してしまったのです。

手術するのも体に強い負荷がかかる。手術後に点滴を自分で外してしまわないようにミトンをはめられ両手の自由を奪われる。どこまで回復するか分からないつらいリハビリもしなくてはならない。一度目の骨折、手術、リハビリの時の母の姿が思い出されました。

医師も二度目の手術は勧めませんでしたので、私は手術をしない選択をしました。

手術をしないという選択をすれば、母が歩けるようにはなりません。

こんな大きな選択を、母は今、自分ですることはできない。

介護をしていく過程では、このような大きな選択、決断をしばしば迫られます。

その選択、決断はおそらく、後になって「あの選択、決断は正しかったのだろうか」と何度も振り返ることになるものだろうと思います。

母が二度目の骨折をした日とその翌日、2017年8月のメモです。

2017年8月○日

・「15:30頃転倒した」とグループホーム「S」のIさんから18:00頃電話があった。

「明日T整形外科に連れていき、結果は連絡する」と。

2017年8月△日

・昨日8月○日は、兄が来ていたので、妻、三女の秋子、私の4人でグループホーム「S」に見舞いに行った。

整形外科で診察してもらった結果はまた骨折だった。

しかし、状況を考えて手術はしない選択をした。

手術をしなければ歩けるようにならないが、手術には体に負荷がかかるし、手術がうまくいったとしても、その後のリハビリも前回同様難航して本人も苦しいだろうとの判断。

車いすでの生活になる。

第102回 認知症介護 転倒して股関節の骨折 その4

認知症の母が股関節を骨折して手術することになったのは、2017年3月のことでした。

私が予想していたよりは早く回復し、2か月足らずで退院することになりました。

その間、病院内でリハビリもしており、私も二度ほどその様子を見に行きました。

母本人はもちろんうれしそうにリハビリに励んでいる感じではありません。

リハビリを指導してくれていたのは、理学療法士でしょうか、若い男性でしたが、よくやってくれているなと思いました。

入院前お世話になっていたグループホーム「S」からは、退院後に再び受け入れられるかどうかの条件として、①立位できる。②トイレの介助の際協力(手すりを持つなど)が得られる。③車椅子に移れる。以上の3点が示されていました。

その3点はクリアできましたので、再びグループホーム「S」に戻ることになりました。

元いたグループホームに受け入れてもらえない場合にどうするか相談できるケースワーカーが病院にはいましたが、受け入れてもらえることになりホッとしました。

回復の程度としては、手を取って補助すれば何とか自分の足で歩けるという程度です。

それでも天気が良ければ散歩ができますし、まあよかったと思うようにしました。

しかし、本当によかったのかどうかは微妙な所です。

何とか自分の足で歩けるということは、再び転倒する危険性が高いということです。

グループホームのスタッフの方も、四六時中見張っているようにしているわけではありません。

母が自分でトイレに行こうとしたりしますから、転倒の危険は高いわけです。

心配は的中しました。

4か月後に再び股関節を骨折してしまったのです。

二度目の骨折についてはまた次回として、今回は1回目の骨折、手術から退院した2017年4月の短いメモです。

2017年4月○日

・母が退院した。

グループホーム「S」に戻ることができた。

予想していたよりは回復はよく、手を取って補助すれば、ちょこちょこと何とか自分の足で歩ける程度まで回復した。