第99回 認知症介護 認知症、前を向くために その4

 「認知症、前を向くために」という特集記事が、朝日新聞のオピニオン欄にあります。

 先日(2018年12月23日)はその第4回で、「リスクに備える」がテーマです。

 まず、朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声の一部が紹介されています。

 「認知症の人を家族のみで支えるのは厳しく介護職員の方々に救われることが多いです。懸命に寄り添ってくれる介護職員の処遇改善を強く望みます」という40代女性の声がありました。

 認知症の人が起こした事故の被害者と加害者双方を自治体が救済する「神戸モデル」の紹介もありました。

 来年度から始まる全国初の仕組みです。

 早期受診を促す助成制度があります。

 65歳以上の神戸市民なら自己負担ゼロで認知症の健診や精密検査が受けられるのです。

 認知症と診断されたら、最高2億円の賠償責任保険に加入しますが、その保険料は市の負担です。

 この記事の中にもありますが、認知症の人の事故や、第三者への賠償責任に関心が高まったのは、愛知県大府市で認知症の男性が列車にはねられた事故がきっかけでした。

 大府市ではこの12月21日、認知症条例制定1年を記念してモニュメントの除幕式がありました。

 認知症に対する施策という点で、大府市と神戸市は注目の市ですね。

 記事には、朝日新聞デジタルのアンケートの結果を表にしたものもありました。

 「あなたや家族が認知症になったとき、前向きに生きるために、特にどんな情報が必要だと思いますか?」という問いに対する上位3項目は、1位「介護サービスの情報」、2位「行政など相談窓口の情報」、3位「医療の情報」でした。

 「認知症とともに生きる社会をつくるために、どんな取り組みが広がってほしいですか?」という問いに対する上位3項目は、1位「認知症の当事者の声を踏まえた政策や施策」、2位「認知症の人や家族を対象にした各種の保険や公的救済」、3位「介護保険サービスの充実」でした。

 12月5日から18日のアンケートで、回答数が158と多くはないものの、参考になると思います。

 記事にはさらに、捜索費用などを補償するための当事者向け保険が出てきていることも紹介されていました。

 外出して行方不明になった時の捜索費用を補償するというのは、「業界初」とのことです。

 本題からはそれますが、私がこの記事で感じたことの一つは、保険業界も吸収合併などの再編が進んだのだなということでした。

 記事に出て来る保険会社の名前は、「東京海上日動火災保険」、「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」、「三井住友海上火災保険」、「あいおいニッセイ同和損害保険」でしたから。

第97回 認知症介護 認知症、前を向くために その3

「認知症、前を向くために」という特集記事が、朝日新聞のオピニオン欄にあります。

今日(2018年12月16日)はその第3回で、「共に生きるまち」がテーマです。

まず、朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声の一部が紹介されています。

「認知症だって、風邪や骨折と同じ。恥ずかしいことでも悪いことでもない」という10代女性の声もあります。

特に共感したのは、訪問介護に携わっている50代女性の声です。

「訪問介護の現場で、長く生きすぎた、死にたい、といわれる高齢の方に出会います。役割を奪われ、生きがいを感じることができなくなっている。でも、どの方も豊かな社会経験、様々な知識と知恵を持っている。それをお聞きすることはとても興味深い。『頑張ってこられたんですね』というと、うれしそうにされます。『対話』する福祉が大切と思います」。

私の母にも、豊かな社会経験や子育ての知恵があり、なかでも子育てに注いだエネルギーには相当なものがあり、それが私の母への大きな感謝につながっています。

記事では、「DFJI‐Zoomカフェ」が紹介されています。

「DFJI」というのは、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブのことで、その「DFJI」がZoomというインターネットのテレビ会議システムを使って、認知症の本人や家族らの新たな交流を始めているというのです。

ちなみに初めの「D」は、認知症を意味する英語の「Dementia」の頭文字です。

認知症の関連ではこの「D」がよく出てきますね。

このテレビ会議は2017年8月に始まり、すでに240回以上開かれているそうです。

「同じ境遇の人に出会える心強い場所」になるかもしれません。

「DFJI」のウェブサイトはこちらです。→「DFJI」

記事にはさらに「認知症にやさしいまちづくり」に取り組む町田市の取り組みも紹介されています。

認知症の人や家族が安心して暮らせる地域であるためには、何が必要なのか。

当事者だけでなく、様々な分野の先駆者が集まって話し合う「まちだDサミット」というのが先月開催されました。

この「D」も「Dementia」の頭文字ですね。

町田市が本格的に「認知症にやさしいまちづくり」に取り組み始めたのは2015年。

市内のスターバックスコーヒーでは、認知症の人や家族が交流する「Dカフェ」が開かれています。

この「D」も「Dementia」の頭文字ですね。

「認知症、前を向くために」は、来週12月23日が第4回。

全4回の最終回です。

第95回 認知症介護 認知症、前を向くために その2

 「認知症、前を向くために」という特集記事が、朝日新聞のオピニオン欄にあります。

 今日(2018年12月9日)はその第2回で、「医療の役割」がテーマです。

 「医者の対応にとても怒りを感じました。同じような患者を何人もみているからか、とても冷たく、いずれ、何もできなくなり、家族で面倒が見られなく施設にいれることになると。」と50代の女性。

 医師がみんなそうではないとは思いますが、同じような気持ちになった人はたくさんいることだろうと思います。

 ご主人が56歳で軽度認知障害と診断され60歳ごろにアルツハイマー型になったという50代女性の「若年性認知症に理解と支援をお願いしたい」という言葉もありました。

 「超高齢の方には余計な医療で負担をかけない『脱医療化』も考えるべきです」と主張する東京都立松沢病院院長の斎藤正彦さん。

 斎藤医師は「それまで当たり前にできていた料理がうまくつくれない、なぜいま自分がここにいるのかわからない――。そんなとき、だれよりも不安や恐怖を感じているのは患者さんご本人です。そしてそのつらさは、体験している本人しかわからない。そのことを理解していない医療者に、まともな認知症のケアなどできません」と言います。

 このような医師がもっともっと増えてほしいものだと感じます。

 「薬より『伴走』 患者ごとに」という見出しの部分では、大阪市の認知症専門クリニックの院長、松本一生さんが紹介されます。

 1人につき約15分、およそ1か月に1度の面接で松本さんが重視するのは、残っている機能を見つけ「あなたの本質は変わっていない」と伝えることだそうです。

 こうして患者の不安に寄り添っているのです。

 副作用がある割に効果が弱いという理由で、日本で使われている4種類の抗認知症薬が、フランスでは公的保険の対象から外されたことにも触れられていました。

 これは今年8月のことで、このブログでも「第62回 認知症介護 認知症薬 仏が保険適用除外」という記事を書きました(2018年7月7日)。

 兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦さん(認知症疾患医療センター長)の「よく効いたと判断できるのは40人に1人くらい。ほとんどの人にとっては意味がありません」という言葉もありました。「認知症、前を向くために」は、来週12月16日が第3回。

 全部で第4回までの予定のようです。