第57回 認知症介護 電気あんかはいいか

 母をグループホームに入れる決断をした大きな理由は二つでした。

 一つは、母が音を立てることが多くなり、家族の睡眠に影響するようになってきたこと。

 もう一つは、火事の心配が増えてきたことでした。

 そのあたりは、「第53回 認知症介護 ドンドン音をたてる」にも書きました。

 母は足が冷たいと訴え、しきりに湯たんぽを使いたがりました。

 母の部屋に行くとすごい湿気でした。

 ガスコンロでお湯を沸かすのです。

 母がやかんでお湯を沸かし、熱湯を湯たんぽにそそぐ。

 私が湯たんぽを触ってみると、まだ十分暖かいこともしばしばでした。

 20分か30分前にもお湯を沸かしているのです。

 火事の心配、母の火傷の心配が高いと感じました。

 そこでかかりつけのO医師に相談しました。

 O医師は、電気毛布や電気あんかを勧めてくれました。

 それで早速家電量販店に行き、電気毛布も電気あんかも買いました。

 火事になったり、火傷をしたりするよりは、安い物だと考えました。

 でも、結果からすると、電気毛布も電気あんかもそれほどよくはありませんでした。

 電気毛布について、私が心配していたのは四六時中つけっぱなしにすることでしたが、むしろ母はしょっちゅうスイッチを切っていました。

 電気毛布の暖かさが心地よくないのか、スイッチの消し忘れを気にして、しょっちゅう消していたのか分かりません。

 電気あんかも使い慣れたものではないので、母が自分から使うことはなかなかしませんでした。

 母がグループホームに入ったあと、どちらも処分しました。

 必要経費だったと思っています。

 2015年1月のメモです。

 母をグループホームに入れる決断をしかけている頃です。

2015年1月○日
・1週間ほど前におばあちゃんをOクリニックに連れて行った。

 1か月に一度の定期健診だ。

 幻聴が聞こえているかのような独り言が多くなってきたこと、不機嫌になることが多くなってきたこと、おかずにやたらしょうゆをかけたがること、一度お風呂で大便をしたこと等をメモ用紙に書いて伝えてきた。

 中でも湯たんぽのお湯や、髪をなでつけるお湯を頻繁に沸かすので、火事と火傷の心配があることも伝えた。

 電気毛布や電気あんかがいいと勧められたので、早速翌日に買いに行った。

 しかし、適切にスイッチを付けたり消したりが出来ないので、心配は尽きない。

 ずっとつけっぱなしを心配していたが、結構消している。

 あんかは自分からは使わない。

 新しいものだから使い方がよく分からないのだろう。

 説明しても分からない。

 それで、結局はお湯を沸かしているので、火の心配は変わらない。

 電気毛布を使い始めて、多少湯を沸かす回数が減ったかなという程度だ。

 ティファールを使ってくれれば危なくなくていいのだが、使えない。

 家が燃えてしまうリスクを考えると、もう施設に預けてしまうのがいいような気もしてくる。

 母は悲しむだろうから、なかなかその決断はできない。

第52回 認知症介護 ケータイ解約、生協の宅配脱退

 「認知症になっても何も分からなくなるわけではないし、何もできなくなるわけでもないし、できることはなるべく自分でさせるようにしよう」そう思っていました。

 今もそう思っています。

 買い物に行って同じものを買ってくるからといって、買い物の機会をなくしてしまうよりは、無駄になってしまったものを処分する。それも介護のための、母に少しでも機嫌よく過ごしてもらうための必要経費のように考えていました。

 今もそう考えています。

 それでもどこかでやめる判断をする時がきます。

 まず、携帯電話の解約でした。

 認知症初期の頃は、母も携帯電話を使うことはできました。

 メールなどはできないにしても、電話をかける、かかってきた電話に出る、といったことはできました。

 出かけるときには携帯電話を持っていく、ということもだいたいはできていました。

 しかし、それも徐々にできなくなり、電話がかけられないことにいら立つようなことも増えてきました。

 それでケータイは解約することにしました。

 違約金がかからない月まで待とうかとも考えましたが、違約金がかかってもすぐに解約したほうが安上がりだと判断し、解約しました。

 できなくなってきていたとはいえ、母のできることを一つ取り上げるようで、少し心が傷みました。

 生協の宅配も脱退しました。

 まだある物を注文するようなことが増え、冷蔵庫の中が臭くなってしまうことも増えてきました。

 ここでも、母のできることを一つ取り上げるようで心が傷みましたが、必要経費とは考えられなくなってきていました。

 時々母と一緒に買い物に出かけるようにはしましたが。

 そんな頃、2014年12月のメモです。

2014年12月○日

・11月○日に母のケータイを解約してきた。

 違約金で10000円ほどかかるが、かからないのは1年半後くらいなので、このまま使わずにいくよりは出費が少ないと判断して解約した。

 同日、生協も脱退の手続き(必要書類を郵送)をした。

 必要経費と思って続けるまでもないと考えた。

 食欲は旺盛だが、足を痛そうにしていることは多い。

 昨日は、約1か月ぶりに洗髪した。

 「頭洗おうか」と声をかけても「洗わない」と言って、なかなか洗ってくれない。

 数日前には玄関に置いてある母の靴がなくなっていて、「まさか出かけたか」と慌てたが、部屋にいた。

 靴は二三日後に玄関にもどっていた。

 靴は戻っていたが、昨日財布がないのに気付いた。

 財布の中には保険証も入っている。

 今、母が来て「秋子ちゃん、いる?」と聞いてきた。

 秋子はおばあちゃんの部屋でテレビを見ていた。

 行くと「おばあちゃんが怒ってきた」と秋子は言う。

 おばあちゃんは「おってもいいよ」と怒った口調で言い、戸をぴしゃりと閉めて寝室に入っていった。

 今しゃっくりをしている。

 しゃっくりをしたり、どんどん足を鳴らしたり(これはただ足を引きずって歩いているだけかもしれないが)、ぴしゃりと戸を閉めたりするときは、機嫌が悪いようだ。

 なぜかは分からない。

 妻がお風呂に入った頃も、機嫌は悪かったらしい。

 「話しかけても振り向きもしないし」と妻は言っていた。

 7月頃ほど悪くはないが、しゃっくりしたり、機嫌が悪かったりすることも少し増えてきた感じがする。

第30回 認知症介護 介護の敵 通信販売 その2

 前回に続いて「認知症介護の敵 通信販売」についてです。

 Y養蜂場の健康食品に続いて、Sウェルネスから届けられるセサミンも母の部屋には溜まっていました。

 もちろん、隠すようにして食器棚の下などに置いてあったのです。

 『母さん、ごめん。』の中で松浦晋也さんは、「通販事業者が悪意を持っているとは思わない。だが、願わくば自分のビジネス形態を省みて、定期購入契約を見直してほしいと切に願う。認知症の老人の家計にとって重大問題だし、かつ介護をする者にかかるストレスにも大きな影響を与える問題だからだ。」(『母さん、ごめん。』39頁)と書いていますが、私も全く同感です。

2012年10月○日

・Sウェルネスからセサミンが送られてきた。

 問い合わせしたところ、3か月に1回(1箱)お届けという契約になっているらしい。

 1箱9800円の1割引きで8820円。

 消費税が441円で合計9261円。

 支払いは振り込み用紙でコンビニなどで支払うことになっている。

 これで開けていないのが3箱になり、開けてあるのもまだたくさん入っているのが1箱あるので、止めてもらうようにお願いした。

 再開するならまた電話すればいい。

 電話は0120-×××-×××。

 前回と違う番号だが。

 今回送られてきた分については、支払いをする。電話の相手はAさんだった。