第60回 認知症介護 『飲んではいけない認知症の薬』

 『飲んではいけない認知症の薬』という本を買いました。

 著者はNPO法人医薬ビジランスセンター理事長の浜六郎さんです。

 本屋で「はじめに」を読み、目次を見て、一部立ち読みしましたが、母の認知症介護において思い当たることがいくつも書いてありました。

 浜さんは、本物の認知症を引き起こすことのある薬剤の代表として、コレステロール低下剤、胃酸を抑制するプロトンポンプ阻害剤、骨粗しょう症の薬剤、睡眠剤、安定剤を挙げています。

 すべて母に処方されたことがあります。

 コレステロール低下剤は、長く処方されていましたし、父が亡くなった後、眠れなくなることがあった母には、睡眠剤も出されました。

 睡眠剤が母の認知症を誘発したという印象を私は持っていましたが、睡眠剤以外にも、コレステロール低下剤が脳内でコレステロールの合成を邪魔し、神経細胞を壊して死滅させる毒性があることを、この本の中で知りました。

 浜さんは言います。

 「認知症という診断がなされたら、まずすべきことは、『認知症用の薬剤を服用する』ではなく、『何か薬剤が悪さをしていないか点検する』ことです。そして、あわてて、認知症用の薬剤を服用し始めないことが大切です」と。

 また、「薬剤の効果や害について疑問に思って医師に話しても耳を傾けてくれる医師は少なく、否定されて困惑している家族は大変多いでしょう。専門知識を持った医師に対して、患者や家族が対等に質問したり、相談したりすることはたいへん難しいことです」とも。

 うんうん、とうなずきながら読みました。

 私の場合は、かかりつけの医師に相談して、薬を減らしてもらうこともしましたし、薬が出されるにはそれなりの理由があるとは思うのですが、それでもやはり、薬の悪影響を考えないではいられません。

第54回 認知症介護 『家族よ、ボケと闘うな!』

 4月末(2018年)、2か月ぶりくらいに母がお世話になっているグループホームに妻と行ってきました。

 私に長期出張があり、なかなか行けなかったのです。

 母は現在要介護4です。車いすでの生活です。

 帰り際にスタッフの方が、私を指して「この人分かる」と聞くと、母は「息子」と答えていました。

 でも、私の名前は言えませんでした。

 本当に息子と分かっているかどうかも分かりません。

 15分くらい母の部屋に一緒にいて、差し入れに買っていったみたらし団子を母と一緒に食べました。

 「おいしいね」と言っていたのはよかったのですが、やはり繰り返し口にするのは、「家に帰りたいな」と「腰が痛いな」でした。

 『認知症介護で倒れないための55の心得』という著書や「40歳からの遠距離介護」というブログで有名な工藤広伸さんのように、なかなか「しれっと」とはいきません。

 どうしても悲しい気持ちになってしまいます。

 工藤さんの「しれっと」にしても、そういう心掛けで、ということだろうと思いますが。

 最近は認知症関連の本をあまり読んでいません。

 介護を経験している工藤さんの著書やブログも大いに参考になりますが、専門の医師の著書もまた参考になります。

 最近読んだものでは、伊東大介さんの『認知症 専門医が教える最新事情』があります。

 2014年12月には長尾和宏さんと近藤誠さんの往復書簡の形式で書かれた『家族よ、ボケと闘うな! 』を読みました。

 ちなみに、長尾和宏さんは認知症の患者さんをたくさん診て来られた医師ですが、認知症専門医ではないとのこと。

 また、近藤誠さんは、認知症の人が暮らしやすい町づくりを目指して活動していらっしゃる公務員の方で、がんの放射線治療の専門家で『患者よ、がんと闘うな』の著者である近藤誠さんとは別人です。

 後者の近藤誠さんをウィキペディアで調べてみたら、敵対者として長尾和宏さんの名前が挙がっており驚きました。

 『家族よ、ボケと闘うな! 』を読んだ2014年12月のメモです。

2014年12月○日
・「流しの水が流れない」とおばあちゃんが言ってきたので見に行ったら、残飯が詰まっていた。

 上の網ではなく、中のふたも取って残飯を流したようで、おそらくこれまで何回もそうしていて、それが溜まってだと思うが、妻がパイプクリーナー(掻き出す道具)で掻き出したら、ニンジンやらタケノコやら、結構大きなものまで出てきた。

 おばあちゃんは「捨ててないよ」と言うから、自覚や記憶はないのだが。

 その後、洗剤でパイプをきれいにしようとしたが、どこまできれいになったかは分からない。

 とりあえず水は流れるようになった。

 数日前に長尾和宏・近藤誠『家族よ、ボケと闘うな! 』を購入し読み始めたが、なかなかいい。

 参考になることも多いし、「そうそう」とうなずける部分が多い。

 我が家では、薬をたまたまやめることができて、周辺症状が大幅に改善したが、薬をやめることができずに苦しんでいる患者や家族はきっと多い。

第11回 認知症介護 どんな本を読んだか

 母がどうやら認知症だと分かったときに、私がしたことは色々あります。

 遠くに住んでいる姉や兄に、母の様子や病院で言われたことを伝えておくこと。

 地域包括支援センターなどに相談して、孤立しないようにすること。

 3人の子どもたちや妻にも母の現状や考えられる近い将来を話して、協力してもらうこと。

 そして、まずは何より認知症について知ることだと考えた私は、認知症関連の書籍を買ってきて一生懸命読みました。

 2012年3月のメモに、どんな本を読んだかが記してあります。

2012年3月○日

・和田秀樹『人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う』(講談社+α新書)読了。

 今の状況にヒントを与えてくれるぴったりの本だった。

 「介護崩壊」の現状や、介護保険の利用の仕方、成人後見人についてなど、得るところは多かった。

 介護の認定は早めに受けておいた方がよさそうだ。

 今なら要支援1かもしれないが。

 法定後見制度の「保佐」「補助」でも、任意後見制度でも検討してよさそうだ。

 母の病気の関係だけではないが、この1~2年で読んだ医療関係の本は、下記のものがある。

① 久坂部羊『大学病院のウラは墓場』(幻冬舎新書)
② 久坂部羊『日本人の死に時』(幻冬舎新書)
③ 白澤卓二『決定版 100歳まで大病しない108の習慣』(角川SSC新書)
④ 吉田たかよし『日本人の命を奪う6つの病気と誰でもすぐできる66の健康法!』(角川SSC新書)
⑤ 米山公啓『認知症は予防できる』(ちくま新書)
⑥ 小阪憲司・須貝佑一『認知症の最新治療法』(洋泉社)
⑦ 中村仁一『往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書)
⑧ 和田秀樹『人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う』(講談社+α新書)

 2017年12月、最近買った本では松浦晋也さんの『母さん、ごめん。-50代独身男の介護奮戦記-』(日経BP社)があります。

 この本は、まだ目次くらいしか読んでいませんが、松浦さんは私と年齢がとても近く、松浦さんが介護するお母さんの年齢も私の母ととても近く、そしてたどった経過も共通するところが多く、共感するところが多そうだと感じています。

 何よりタイトルの「母さん、ごめん。」この思いに共感します。

 「第1回 認知症介護 母への思い」で書きましたが、介護の日常で母への感謝を思うこと、母への感謝を自分に言い聞かせることはしょっちゅうでした。

 「母さん、ありがとう。」

 でも、これまでも、そして、おそらくこれからも母の介護を思うとき、まず頭に浮かぶのは「母さん、ごめん。」だと思うのです。