第85回 認知症介護 認知症フレンドリーイベント

「認知症フレンドリーイベント 誰もが安心して暮らせる社会を目指して」(朝日新聞社主催)が、2018年9月22日に、東京都中央区で開かれました。

 私は地方在住で、残念ながらそのイベントには参加していませんが、10月24日から26日の3回に分けて朝日新聞に掲載された、そのイベントの報告を見ました。

 報告1では、若年性認知症の当事者である福田人志さんが、取材で「トイレの行き方も分からない、ご飯の食べ方も分からない」というような「認知症らしさ」を求められて困惑したことが紹介されていました。

 「認知症の人と家族の会東京都支部代表」を務めた大野教子さんからは、認知症の予防だけを安易に取り上げるテレビ番組が最近は多く、「認知症にはなりたくない」という思いを助長しているのでは、という指摘がありました。

 報告2では、慶応大学医学部精神・神経科学教室教授の三村将さんの、「予防が肝心 食事や睡眠に気を配って」という認知症のリスクを高めるものと予防に効果的なものの話がありました。

 認知機能が低下した人への効果的なケアの技法である「ユマニチュード」の認定インストラクターである盛真知子さんの、ケアが必要な人との具体的な接し方の技術の話がありました。

 「ユマニチュード」については、先日のNHKの「ためしてガッテン」でも紹介されていたように思います。

 報告3では、交通評論家で認知症予防専門士の中村拓司さんと、マツダ・統合制御システム開発本部主査の中島康宏さんが語る、認知症の方と運転の問題についての言及がありました。

 京都府立医科大学大学院教授である成本迅さんの、金融機関を活用した認知症当事者への支援についての話もありました。

 私が母の認知症に気づいた場面の一つも、母が郵便局のATMでまごついていて、局員さんに助けてもらっている場面でした。

 朝日新聞デジタルには、「認知症とともに」という特集記事がありますので、紹介します。

 →「朝日新聞デジタル 認知症とともに

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第84回 認知症介護 正月は外出して自宅で過ごす

 認知症の母がグループホームに入って初めての正月を迎えました。

 2016年のことです。

 グループホームに外出届を出せば外出もできるし、外泊届を出せば外泊もできます。

 しかし、おおみそかから元日にかけて、母を自宅でという自信はありませんでした。

 そこで外出届を出して母を連れ出し、おせちを自宅で家族と食べる機会を持とうと考えました。

 私が子ども時代を過ごした家はすでに処分している関係で、私の兄は、盆と正月には、両親の晩年の世話をしていた我が家に「里帰り」しています。

 ですので、この2016年の正月は、私たち夫婦、娘たち3人、そして兄と母、合計7人で過ごしました。

 この頃の母は、まだそれなりに会話もできましたが、兄のことを自分の息子だと分かっているのかどうかは微妙な感じでした。

 母はおせちをたくさん食べました。

 お菓子もたくさん食べました。

 予定していた午後3時半に母をグループホームに送っていきました。

 「家に帰りたい」と母はよく言っていたので、素直にグループホームに帰ってくれるか少し心配していましたが、素直に帰ってくれました。

 とはいえ、グループホームに着き、車を降りるときに「ここで降りるの?」と不安な表情を浮かべ、降りたくない気持ちを我慢しているようにも見えました。

 「お母さん、ごめん」と私は心でつぶやきました。

2016年1月1日

・10:00から15:30まで外出の届けを出して(届けを出したのは数日前)、外出し、母は家で7時間ほどを過ごした。おせちも食べた。

 兄のことは、どれくらい分かっているのかよく分からなかった。

 「以前はよくボーリングに行ったね」などの会話には、普通に対応していた。

 おせちもかなり食べたが、そのあとに、お菓子も結構食べた。

 少し心配なくらいに。

 帰りは兄の帰りと一緒に、まず母をグループホーム「S」に送っていき、それから兄を駅に送っていった。

 グループホーム「S」に戻りたくないなどの行動は見られなかった。

 車を降りるときに、「降りるの?」と不安げな表情を浮かべたが、言う通りに行動してくれた。

 これからまたしばらく、ここで家族とは別に暮らすのかと思うと、寂しいだろうなと心痛む。

第83回 認知症介護 激しく戸を閉める音の対策に「消音テープ」が有効

 認知症の母がグループホームに入る以前、「自宅での介護はそろそろ限界だ」と私が感じた大きな理由は、母が金属製のふたのついたゴミ箱のそのふたを、重みのある手鏡でたたいて、夜中にまでカンカン、カンカンと音を出したり、激しい独り言を言ったりして、家族の睡眠に影響しだしたことでした。

 もうひとつ、音で困ったことがありました。

 それは、機嫌が悪くイライラするのか、母が自分の部屋の障子をぴしゃりと閉めるときに、ぴしゃりどころか、バンッと激しい音を立てて、勢いよく閉めることでした。

 「私は怒っているぞ」と周囲にアピールするかのようなその音は、私たち家族を、そのたびにドキッとさせました。

 そこで私は、ホームセンターに行き、「戸あたり消音テープ」を買って来て、母の部屋の障子に貼りました。

 「戸あたり消音テープ」の存在は、それまで意識したこともありませんでしたが、「発泡合成ゴム製の消音テープが、家中に響く戸あたり音を貼るだけで簡単解決」(ニトムズの「クッションソフトテープ」の宣伝文句)などと売り出しています。

 ニトムズの製品を特に売り込もうというわけではありませんが、「クッションソフトテープ」以外にも、「戸あたり消音テープ」、「ふすま戸あたりテープ」、「家具用戸あたりテープ」など、類似の製品を売り出しています。

 この「消音テープ」を貼ることで、その音に関してはそれなりに解決しました。

 不機嫌になった母が、障子をバンッと閉めるのに、パンッとしか音がしない。母が拍子抜けしているような姿を想像し、私は不謹慎と思いながらも、笑いがこみあげてきました。

 母がグループホームに入って4カ月ほどが経過した2015年11月、グループホームに面会に行くと、母の部屋のドアには「消音テープ」が貼ってありました。

 母はここでも同じようにドアをバタンと不機嫌そうに激しく閉めて、介護スタッフの方たちを困らせたに違いありません。

 スタッフの方からは「指をはさむといけないので」という説明でしたが。それとは別に話があったのは、「ドアを取り外しましょうか」という提案でした。

 グループホームの母の部屋のトイレのドアは、手前に引くタイプで、母はそれがずいぶん使いにくそうだったらしいのです。

 私はその提案に従い、ドアを外してもらいました。

 そして、ドアの代わりに、長めの暖簾をつけてもらいました。

 2015年11月のメモです。

2015年11月○日

・今日は私一人でグループホーム「S」に面会に行ってきた。

 週に一度は面会に行っている。

 これまで入所してから言っていなかったが、今日は「腰が痛い」と母は言っていた。

 トイレが手前に引くタイプのドアで、転んだか、転びそうになったか、壁との間に挟まったのかもしれないが、「ドアを外して、長い暖簾にしましょうか」と提案があったので、そうしてもらうことにした。

 部屋への入り口の扉にクッションが貼ってあった。

 家でしていたように、バタンと勢いよく閉めているからかもしれない。

 介護スタッフの方は、指を挟むといけないから、と言ってはいたが。

 あれこれ母と話した中で、姉(母にとっては長女)のことも少し話題にしたが、姉の名前を出してもそれが誰かよく分からない様子だった。