第80回 認知症介護 グループホーム入所初期の母の様子

 認知症の母がグループホームに入ったのは、2015年8月のことでした。

 激しい独り言を言ったり、夜中に物をたたいてカンカンと音を出したりして、家族の睡眠にも影響して、自宅での介護が限界だと判断したのでした。

 それでも、母が何もできないわけではありませんし、何も分からないわけでもありません。

 感情ももちろん残っています。

 グループホームに入所した初期は、思考力や判断力もあり、私が息子だということもはっきり分かっているようでした。

 3年後の現在では、私が息子だとは分かっていないようです。

 先日も私に対して「おにいちゃん、おにいちゃん」と呼びかけていました。

 私は長男ではないので、幼いころからずっと母に「おにいちゃん」と呼ばれたことはありませんでした。

 もしかすると、呼びかけ方が分からないだけで、目の前にいる私が息子だという認識はあるのかもしれません。

 そこは分かりません。

 母がグループホームに入所して以来、3年間一貫しているのは、「家に帰りたい」と訴えることです。

 これは私にとっては辛いことです。

 母がグループホームに入所した時には、紙パンツをしていました。

 尿も便も漏らしたことはまれでしたが、本人も家族も紙パンツをはいていたほうが気が楽だということで、はいていたのです。

 本人が進んで紙パンツをはいていたかは微妙ですが。

 しかし、グループホームに入ってしばらくしたら、紙パンツがとれました。

 というより、介護スタッフの方が、「ほとんど漏らしていないようなので、紙パンツはとりました。」と言って、紙パンツ無しにしてくれたのです。

 介護する側にとっては、紙パンツをはいていたほうが、何かと処理しやすいと思うのですが、「本人にはこのほうがいいと思うので。トイレに行かないと、と本人が気にする状況のほうがいいと思うので。」と外してくれたのです。

 この件で私たち家族の介護スタッフに対する信頼は高まりました。

 母がグループホームに入所して1か月から2か月の頃のメモです。

2015年9月○日

・昨日グループホーム「S」に面会に行ってきた。

 妻と三女の秋子と3人で。

 「ここにいても楽しいことはないねえ」と母は何度も言っていた。

 そういう言葉を聞くのは辛い。

 それでも、世話してもらっているからか、こざっぱりとして、見た感じは悪くはない。

 悲しそうではあるが、怒っているような不機嫌そうな感じではない。

2015年10月○日

・今日グループホーム「S」に面会に行ってきた。

 妻と二人で。

 「早く家に帰りたいけど、他に行くところがないからしょうがないねえ。」「ここで一人で寝るのは寂しいよ。」と言っていた。

 もちろん、大部屋がいいということではなく、「家族と一つ屋根の下で寝たい。」という意味のはずだ。

 寿司とうなぎでは、寿司の方が食べたいと言っていた。

 来週の三連休のどこかで外出して寿司を食べに行こうかと考えている。

 介護スタッフのHさんに聞いたところでは、初めのころは独り言もあったが、最近は全然独り言を言っていないとのこと。

 見た感じは穏やかそうで悪くはない。

 しかし、帰りたい、寂しい、という言葉は当たり前だが出る。

 そういう言葉を聞くと、こちらも寂しくなってきて辛い。

第79回 認知症介護 経費を負担できる人には負担してもらうという政府の方針

 「経費を負担できる人には負担してもらう」という介護についての政府の方針があります。

 先月、2018年8月から、介護保険の「利用者負担割合」が変わりました。

 これまでは、「年金収入280万円」を境にして、「280万円未満」なら自己負担は1割、「280万円以上」なら2割でした。

 それが8月からは、「年金収入340万円以上」という新しい分類ができて、自己負担が3割になります。

 厚労省の試算では、介護保険の受給者496万人に対して、3割負担になる人は約12万人の約3%に留まるということですから、影響を受ける人はそれほど多くはないようです。

 私の家でも母の年金収入は非課税のレベルですので、介護保険の自己負担も1割負担に変わりはありません。

 でも、将来的にはどうなるか分かりません。

 冒頭にも書いたように、「経費を負担できる人には負担してもらう」という介護についての政府の方針がありますから、3割負担の人が増えるような改定が今後ますますされるようになっていくことも考えられます。

 母がグループホームに入った2015年8月の翌月、2015年9月のメモです。

2015年9月○日

・昨日グループホーム「S」に面会に行ってきた。

 妻と次女の夏子と三女の秋子と4人で。

 15:30から約30分の面会。

 管理者の人はいなくて、聞きたいことが聞けなかったので、今日になって改めて電話して聞いた。

 グループホームの費用の引き落としは毎月27日、8月分は約3万円で、25日の締めに間に合わなかったので9月分と一緒に引き落とされるとのこと。

 契約書を渡したときに、一緒に預けた保険証のようなものは、3種類だった。

 1つは健康保険証、もう1つは介護保険証。

 それからもう1つあった緑色のが何だったかを尋ねた。

 それは「介護保険負担割合証」だった。

 負担が1割か2割かを証する書類で、母の場合は1割だ。

 母がグループホームのトイレにティッシュを流しているらしいこともスタッフの方に伝えた。

8月から介護保険の「利用者負担割合」が最大3割に拡大

 昨日(2018年9月21日)の朝日新聞「ひと」の欄に、映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」の監督、信友直子さんが紹介されていました。

 2014年1月に認知症と診断された89歳のお母さんと、97歳になる耳の遠いお父さんの日常を、家庭用ビデオで撮ったのだそうです。

 記事には「普通なら人に隠したいことでも『撮らなきゃ』とカメラを向けた。『家族に迷惑をかける』と思っている母の苦しさを記録したかった。認知症だから終わり、ではない。」とあります。

 私も共感するところがあります。

 お母さんがぽろっと言った「ぼけますから、よろしくお願いします。」という言葉が、映画のタイトルになっています。

 この映画は11月に東京などで公開されるそうですから、事情が許せば見に行ってみてはどうでしょうか。

第78回 認知症介護 グループホームに面会に行ったほうがいい

 認知症の親の介護をしていて、親をグループホームに入れたら、なるべく多く面会に行ったほうがいいと思います。

 グループホームのスタッフの方たちは、本当によくしてくださいます。

 スタッフの方が言うことを母がなかなか聞いてくれないこともありますし、母の排せつがうまくいかないこともある。

 母は独り言を言うことも多いし、他の入所者の方とのいざこざもある。

 それでもスタッフの方は、なだめすかしたりしながら、上手に対処してくれる。

 本当に頭が下がります。

 「第66回 認知症介護 NHK「金とく」「日中 支え合う“老後” ~進む介護協力~」を見た。」でも触れましたが、介護スタッフの確保は全国的にますます難しくなっているようで、母がお世話になっているグループホームでも、やめてしまうからか、グループ内での人事異動があるからか、スタッフの交代はけっこう多いように感じます。

 預けている家族とすれば、長く同じ人に面倒を見てもらったほうが、母のいろいろな好みや対処の仕方がわかっていいと思います。

 でも、そうしていると様々なマイナスの感情がたまってきたりしてよくないのかもしれません。

 病院や介護施設で患者の身体を拘束することが問題になることがありますが、やむをえず拘束する場合もあるかと思います。

 もちろん、そのほうが楽だからという理由で、必要以上に拘束してしまうから問題なのでしょうけれど。

 繰り返しますが、親をグループホームに入れたら、なるべく多く面会に行ったほうがいいと思います。

 家族が気にかけていなければ、介護スタッフにしても、親身に介護する気になれなくても不思議ではありません。

 費用は払っているのだから、と思わずに、季節に一度くらいは、心ばかりのお菓子などを持っていくように私はしています。

 母をグループホームに預けた当初は、週に一度は面会に来ようと思っていましたが、徐々にその回数が減ってきてしまっています。

 私のメモも、「面会に行ってきた」の連続になってしまいます。

 このブログの内容も、このあたりからは、「面会に行ってきた」の単調さを避けるために、介護に関する時事的な内容が増えてくるかもしれません。

2015年9月○日
・グループホーム「S」に面会に行ってきた。

 母はやはり「早く帰りたい」と言っていた。

 「いつ帰れるの、と施設の人に聞いても、教えてくれない」とも言っていた。

 「ここは時計がないから時間が全然分からない」(実際は、テレビを見るソファからは見にくいところに時計があるのだが)とか、「おばあちゃんが、一番若いくらいだね。みんな髪も真っ白で」とか繰り返し同じことを言うだけで、普通の(認知症ではない)おばあちゃんと思える。

 入れ歯はまだ入っていなかったので、歯医者には連れて行ってもらってないようだ。

 「食事はあまりおいしくない」と言っていた。