第52回 認知症介護 ケータイ解約、生協の宅配脱退

 「認知症になっても何も分からなくなるわけではないし、何もできなくなるわけでもないし、できることはなるべく自分でさせるようにしよう」そう思っていました。

 今もそう思っています。

 買い物に行って同じものを買ってくるからといって、買い物の機会をなくしてしまうよりは、無駄になってしまったものを処分する。それも介護のための、母に少しでも機嫌よく過ごしてもらうための必要経費のように考えていました。

 今もそう考えています。

 それでもどこかでやめる判断をする時がきます。

 まず、携帯電話の解約でした。

 認知症初期の頃は、母も携帯電話を使うことはできました。

 メールなどはできないにしても、電話をかける、かかってきた電話に出る、といったことはできました。

 出かけるときには携帯電話を持っていく、ということもだいたいはできていました。

 しかし、それも徐々にできなくなり、電話がかけられないことにいら立つようなことも増えてきました。

 それでケータイは解約することにしました。

 違約金がかからない月まで待とうかとも考えましたが、違約金がかかってもすぐに解約したほうが安上がりだと判断し、解約しました。

 できなくなってきていたとはいえ、母のできることを一つ取り上げるようで、少し心が傷みました。

 生協の宅配も脱退しました。

 まだある物を注文するようなことが増え、冷蔵庫の中が臭くなってしまうことも増えてきました。

 ここでも、母のできることを一つ取り上げるようで心が傷みましたが、必要経費とは考えられなくなってきていました。

 時々母と一緒に買い物に出かけるようにはしましたが。

 そんな頃、2014年12月のメモです。

2014年12月○日

・11月○日に母のケータイを解約してきた。

 違約金で10000円ほどかかるが、かからないのは1年半後くらいなので、このまま使わずにいくよりは出費が少ないと判断して解約した。

 同日、生協も脱退の手続き(必要書類を郵送)をした。

 必要経費と思って続けるまでもないと考えた。

 食欲は旺盛だが、足を痛そうにしていることは多い。

 昨日は、約1か月ぶりに洗髪した。

 「頭洗おうか」と声をかけても「洗わない」と言って、なかなか洗ってくれない。

 数日前には玄関に置いてある母の靴がなくなっていて、「まさか出かけたか」と慌てたが、部屋にいた。

 靴は二三日後に玄関にもどっていた。

 靴は戻っていたが、昨日財布がないのに気付いた。

 財布の中には保険証も入っている。

 今、母が来て「秋子ちゃん、いる?」と聞いてきた。

 秋子はおばあちゃんの部屋でテレビを見ていた。

 行くと「おばあちゃんが怒ってきた」と秋子は言う。

 おばあちゃんは「おってもいいよ」と怒った口調で言い、戸をぴしゃりと閉めて寝室に入っていった。

 今しゃっくりをしている。

 しゃっくりをしたり、どんどん足を鳴らしたり(これはただ足を引きずって歩いているだけかもしれないが)、ぴしゃりと戸を閉めたりするときは、機嫌が悪いようだ。

 なぜかは分からない。

 妻がお風呂に入った頃も、機嫌は悪かったらしい。

 「話しかけても振り向きもしないし」と妻は言っていた。

 7月頃ほど悪くはないが、しゃっくりしたり、機嫌が悪かったりすることも少し増えてきた感じがする。

第51回 認知症介護 奇行、独り言の増加

 前回の記事で、母が封筒に入れたりティッシュで包んだりした小銭を、家の郵便ポストに入れておく、という行動をしたことを紹介しました。

 そして、その行動は私の姉や親せきを援助するための行為に違いない、ということも。

 私は切ない気持ちになりました。

 トイレットペーパーを階段に置くとか、独り言を言うとか、母の奇行が徐々に増えてきました。

 独り言も夜中に言うことが増えてくると、私たち家族の睡眠に影響してきます。

2014年11月○日

・母の奇行が増えてきた。

 今(11月○日午前0時25分)は、寝室でずっと独り言を言っている。

 三女の秋子と話している感じだ。幻覚か幻視が増えたのだろう。

 私はすでに寝ていたが、その声で目が覚めて、母のところに行き、「何かあった? 」と尋ねたら、「秋子ちゃんが、明日どこかへ行くのに、ピンクのカバンを持っていくって何度も何度も言うから、あっちに置いてあるピンクのカバンだよ。」と、普通に答えた。

 実際に、母が使っている部屋にはピンクのカバンが置いてあった。

 私が帰宅したときには、階段にトイレットペーパーが置いてあった。

 ものからして、母が置いたに違いない。

 そして今、玄関には湯たんぽと化粧クリーム(?)がビニール袋に入れて置かれている。

 トイレに行き、寝室に戻ったが、まだ秋子との会話のような独り言は続いている。

 時々声が大きくなり、「何遍言ったら分かるの? 」と言っているようだ。

 声が大きくなった時以外は、こちらの部屋(リビング)からは、よく聞き取れない。

 ただ、結構絶え間なく独り言を言っている。

 これもしょっちゅうだと、私たち家族の眠りにも影響してくる。

第50回 認知症介護 ポストにお金 食欲過多

 母の様子がどうもおかしい、と感じたきっかけはいくつかありましたが、その一つは郵便局のATMで母がお金を振り込もうとしていたのに私が出くわした時でした。

母は機械の操作が分からず、郵便局の人に助けてもらっていました。

そこに私がたまたま出くわしたのです。

どうやら姉か親戚にお金を送金しようとしていたのです。

母は決してお金に余裕がないのに、親戚を助けるために時々送金しているようでした。

そんな母でしたので、認知症が進み、不可解な行動が増えていく中で、家の郵便ポストにお金を入れた時には、きっと親戚を金銭的に援助するために送金しようとしているのだろうと察しがつきました。

本当のところは分かりません。

ティッシュに小銭を包み、家の郵便ポストに置くのです。

私が帰宅したときに、ポストに郵便物だけでなく、封筒に入った小銭とティッシュに包まれた小銭があったので驚きました。

母がしたことに間違いありませんが、母に聞いても答えません。

そんなことがあった2014年10月のメモです。

2014年10月○日

・昨日、小銭が入った封筒が二つ、郵便ポストに入っていた。

母が入れたものに違いない。

小銭の種類に分けて入れてあったが、違う金種が少し混じっていた。

ティッシュに包んだ小銭も少しあった。

レンジの横にある小銭入れにあったお金を、種類別に分けて入れたようだ。

本人はポストに入れたことは覚えていない。

家の中の元々そのお金が置いてあった場所に戻しておいたが、今日また、郵便ポストに250円だけ入った封筒が入っていた。

 それから、昨日買ってきたおかずが、ほとんど食べられていた。

 温めるだけのおかずで、5日分と思って妻が買ってきたものだ。

 袋だけがゴミ箱に捨ててあったので、すべて食べているはずだ。

 機嫌が悪くないのはいいが、認知機能の低下は進んでいる感じもする。